Phase-Field法を用いた組織形成シミュレーションデモ

(1)3相(α,β,γ)スピノーダル分解

(2)Fe-Cr合金におけるα(bcc)相のスピノーダル分解

(3)強誘電体(もしくは強磁性体)のドメイン形成・成長および外場による組織変化

(4)Ni-Al合金における(γ+γ')2相分離

(5)結晶成長および再結晶

(6)Al-Zn合金におけるα(fcc)相の相分解

(7)Al-Zn合金におけるα(fcc)相の相分解のモンテカルロシミュレーション

(8)Fe-Cu合金におけるbcc相の相分解

(9)結晶変態(立方晶→正方晶)におけるツイードおよび双晶組織形成

(10)ZrO2-YO1.5部分安定化ジルコニアにおける相分離


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(1)3相(α,β,γ)スピノーダル分解(DEMO)

 3相(α,β,γ)共存領域におけるスピノーダル分解過程のシミュレーション。状態図は、

 

であり、仮想的なモデル合金である。計算の初期条件は3元系の中心組成(C1= C2= C3=0.33)である。合金組成の値をいろいろと変えて計算すると、様々な組織形成過程を見ることが出来る(例えば、C1= C2= 0.25)。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。

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(2)Fe-Cr合金におけるα(bcc)相のスピノーダル分解(DEMO)
 Fe-Cr2元合金におけるα(bcc)相のスピノーダル分解過程の計算。状態図は、

となり、図の赤点線で示した(α1+α2 )2相領域内における過飽和固溶体からの相分離過程のシミュレーションである。合金組成がC0であり、初期設定の0.4Fe-40at%Cr合金を意味している。合金組成を種々変化させて計算すると、様々なスピノーダル分解およびその後のオストワルド成長過程を見ることができる(例えばC0=0.5, 0.6, 0.7など)。図の明暗が局所的な組成を意味しており、黒が純Crおよび白が純Feである。温度の初期設定は673Kで、この他に773Kも選択することができる。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。

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(3)強誘電体(もしくは強磁性体)のドメイン形成・成長および外場による組織変化(DEMO)
 強誘電体の構造相転移のシミュレーションで、ドメイン間の双極子
-双極子相互作用を考慮した組織形成過程の計算。初期の黒い部分は、分極モーメントが0の初期状態で、色ついた部分が分極モーメントを持つドメインである。モーメントの方向は、(赤、青、緑、黄)=( 右、左、下、上)である。組織形成が進行すると、いたるところで還流構造(モーメントが一周して閉じるドメイン配置)が出現する。
 また組織形成後期では、左方向に外部電場(初期設定のa-fieldの値-0.10)をかけた計算となっているので、外部電場と同じ方向の分極モーメントを持つ青いドメインが優先的成長していく様子が計算される。この外場は初期設定のa-fieldの値で変更できるので、例えばこの値を0.1にすると、外部電場は右方向にかかることになり、赤いドメインが優先的に成長する。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。
 この計算は、双極子
-双極子相互作用下におけるドメイン形成の計算であるので、強磁性体の磁区の形成・成長の計算にも直接利用することができる。

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(4)Ni-Al合金における(γ+γ')2相分離(DEMO)
 Ni-Al合金における(γ+γ')2相分離の計算。γ相はfcc構造の固溶体で、γ'相はL10構造の金属間化合物Ni3Alである。白い析出相がγ'相で、黒い母相がγ相である。γ相とγ'相は格子定数が異なるので、弾性歪エネルギーが発生し、これによって、析出相の形状は球から四角へ、また析出相の配列は<100>方向(図の上下および左右方向)に沿った配列へと変化する。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。
 この合金は、スーパーアロイと呼ばれるNi基の耐熱合金の基本となる合金系であり、相分解組織のを制御することによって、種々の耐熱合金が実用化され、ジャンボジェットやガスタービンの回転翼に実用化されている。

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(5)結晶成長および再結晶(DEMO)
 等軸晶形成、結晶成長、および再結晶のシミュレーションである。初期の黒い部分は液相であり、灰色部分が固相の結晶流である。初期に等軸晶が形成され、また結晶成長が進行する過程が計算される。また後期において、再結晶現象のシミュレーションへ切り替わる(白い結晶粒が再結晶粒である。
 Dfが再結晶の駆動力で(無次元量に変換してある)、この値を微小変化させると種々の再結晶挙動を見ることができる(例えば、Df=1.3にして、再結晶の駆動力を減少させると、結晶粒の異常成長のような組織が現れる)。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。

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(6)Al-Zn合金におけるα(fcc)相の相分解(DEMO)
 Al-Zn2元合金におけるα(fcc)相のスピノーダル分解過程の2次元計算(等温時効、図の1辺は40nm)。下図はAl-Zn2元合金の平衡状態図である。合金組成がZn の原子分率Zn (at.fra.)であり、初期設定の0.30Al-30at%Zn合金を意味している。合金組成を種々変化させて計算すると、様々なスピノーダル分解およびその後のオストワルド成長過程を見ることができる(例えばC0=0.4, 0.5など)。青の度合いがZnの局所組成を意味しており、黒が純Alおよび青が純Znである。温度の初期設定は373Kで、deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。
 この材料はジュラルミンの基本合金系の1つであり、特に形成されるナノスケールの析出相はGPゾーンと呼ばれている。ジュラルミンの強度は、この相分解組織によってコントロールすることができる。



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(7)Al-Zn合金におけるα(fcc)相の相分解のモンテカルロシミュレーション(DEMO)
 Al-Zn合金におけるα(fcc)相の相分解のモンテカルロシミュレーション(等温時効、図の1辺は50単位胞でおよそ20nm)。青がAl原子、赤がCu原子、黒が空孔である。計算はfcc格子の3次元計算で、最表面の(100)面を表示している。合金組成がZn の原子分率Zn (at.fra.)で、Va (at.fra.)は空孔濃度である。原子の移動は空孔拡散のみを考慮し、10000モンテカルロステップごとに原子配列を表示している。相分解の進行に伴い、Znが集合してくる様子が計算される。

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(8)Fe-Cu合金におけるbcc相の相分解(DEMO)
 Fe-Cu2元合金におけるbcc相のスピノーダル分解過程の2次元計算(等温時効、図の1辺は40nm)。合金組成がCu の原子分率Cu (at.fra.)であり、初期設定の0.30Fe-30at%Cu合金を意味している。合金組成を種々変化させて計算すると、様々なスピノーダル分解およびその後のオストワルド成長過程を見ることができる(例えばC0=0.2, 0.4, 0.5, 0.6など)。赤の度合いがCuの局所組成を、また青の度合いがFeの局所組成を意味している。温度の初期設定は773Kで、deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。相分解初期に均一なスピノーダル分解が徐々に進行し、途中から分解と粗大化(溶質の奪い合い)が同時に起こり始め、孤立したCu粒子組織へと変化していく。

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(9)結晶変態(立方晶→正方晶)におけるツイードおよび双晶組織形成(DEMO)
 立方晶から正方晶への結晶変態における組織形成の2次元シミュレーション(等温時効、図の1辺は250nm)。初期の黒い部分は立方晶単相で、色ついた部分が正方晶のドメインである。正方晶のc軸の方向は、(赤と青)が水平方向で、(緑と黄)が垂直方向である。さらに正方晶は規則相を想定しており、赤と青の界面および緑と黄の界面は逆位相境界である。初期に[110]方向(図の45°の方向)に並んだツイード組織が形成され、その後正方晶ドメインが成長するにつれて、双晶組織へと変化していく様子が計算される。 dGが結晶変態の駆動力(単位はJ/mol)であるので、この値を負で大きな値(例えば-700)に設定すると、初期に形成される正方晶ドメイン組織は細かい組織となる。deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。この計算は、マルテンサイト変態の計算にも直接利用することができる。

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(10)ZrO2-YO1.5部分安定化ジルコニアにおける相分離(DEMO)
 ZrO2-YO1.5部分安定化ジルコニアにおける正方晶t相の2相分離計算(等温時効、図の1辺は60nm)。下図は計算に用いた片村らによる準安定状態図である。YO1.5のモル分率がC0 (mol.fra.)であり(化合物であるので、原子分率ではなくモル分率である点に注意)、初期設定の0.08ZrO2-8mol%YO1.5を意味している(Y2O3で表現するとZrO2-4mol% Y2O3)。黒さの度合いがYの局所組成で、白がZrO2-2mol%YO1.5および黒がZrO2-16mol%YO1.5に対応している。計算面は(110)面で縦方向が[001]である。温度の初期設定は1773Kで、deltは数値計算の時間きざみである。(値を大きくすると計算は速くなるが、大きすぎると計算が不安定になる発散する。初期設定値は推奨値ですが、もし計算が発散するような場合には、値を小さくして実行してみて下さい)。
 合金組成や温度を種々変化させて計算すると、様々なスピノーダル分解およびその後のオストワルド成長過程を見ることができる。特に後期において、弾性異方性によって、斜め方向に板状の析出相が並んだ組織へと変化していく。


[ J.Katamura, Y.Ikuhara and T.Sakuma: Proc. of the PRICM 3, (1998), 1399-1404.]

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